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【福島民報】福島県外との往来戻る 越境自粛41府県解除 企業の取引活発化

2020.6.2

首都圏の四都県と北海道を除く四十一府県への県の移動自粛要請が解除された一日、県内では県外に向かう人の動きがみられた。JR東日本福島支店によると、福島市のJR福島駅には先週末と比べて会社員や学生の姿が目立ったという。

福島市の事業所に勤め、転職活動中という二十代男性は岩手県での採用面接に臨むため駅を利用した。「新型コロナウイルスの影響で面接日程が延びていたが、やっと受けられる」と安堵(あんど)した。観光で仙台市に向かう二本松市のアルバイト渡辺賢明さん(47)は「移動自粛が続いていた時期に比べると行きやすい」と心境の変化を口にした。

一方、一日午後一時ごろの本宮市の東北自動車道安達太良サービスエリア下り線駐車場には宮城や山形、岩手など近県ナンバーの車が見られ、往来が戻る兆しがうかがえた。

県内企業にも県外の取引先に出向いての商談や、拠点間の従業員の移動を活発化させる動きが出始めている。

みそや甘酒を製造する郡山市の宝来屋本店は一日から関西圏などの大口取引先への出張予定を組み始めた。自粛要請を受け、県外業者との商談は電話やメールで対応してきた。柳沼広呂人社長(45)は「厳しい状況は続くが、県をまたぐ事業活動を再び軌道に乗せるきっかけにする」と段階的解除を歓迎した。

太陽光発電関連企業のアンフィニは移動自粛要請解除を受け、楢葉町の工場と大阪市の本社との従業員の行き来を再開する。

移動自粛期間中は県内で計画するプロジェクトの担当者が来県できず、楢葉町の従業員が業務を代わるなどしてきた。大阪府和泉市に家族を残し、楢葉町に赴任中の復興推進部の川崎俊弘部長(34)は「三月中旬から家族と会えない時期が続いていた。四月に幼稚園に入った長男と会うのが楽しみ」と語った。

福島市の福島交通はジェイアールバス東北、ジェイアールバス関東と共同運行する福島・郡山-新宿間高速バス「あぶくま号」を六日から一日六往復に増やす。新型コロナの感染拡大前は十二往復していたが、四月二十一日に二往復に減らしていた。運休中の大阪や名古屋、新潟との便の再開時期はあぶくま号の利用状況などを見極め、決めるという。